時候の挨拶(季節の挨拶)
手紙の中で頭語の後にくるのが時候の挨拶です。季節にふれる挨拶は手紙のもっている美しい伝統のひとつです。時候の慣用句もありますが、自分なりの表現で、季節感をうまく工夫して相手に伝えると良いでしょう。また、時候の挨拶のあとには、安否を気づかう挨拶が続きます。ここでは季節感あふれる時候の挨拶をご紹介します。かしこまったお手紙には月ごとの定型句を、親しい方へのお手紙には少しカジュアルな表現を用いると良いでしょう。
お詫び・お見舞いの場合
お詫びの手紙では、申し訳ないという気持ちを伝えることが最大の目的です。時候の挨拶は書かずに、単刀直入に本題に入りましょう。また、お見舞いの手紙では、相手の体調を気遣う気持ちを伝えることが大切です。
容態や被害の状況に応じて時候の挨拶は省きましょう。
容態や被害の状況に応じて時候の挨拶は省きましょう。
ビジネスの場合
ビジネスで時候の挨拶を使う場合、「~の候」という古くからの漢語調の挨拶だけでは事務的な印象を与えてしまいます。ビジネスだからこそ、ほんのひと手間かける心遣いで仕事までもできる印象に。ご自分が五感でその時に感じた言葉を加える工夫をしましょう。
1月<睦月:むつき>
1月のイベント/おそい年賀状、寒中見舞い
新しい年を迎え、心新たに動き出す月。縁起の良い風景や出来事(吉兆)を入れて、お相手の一年の多幸を確信するように書くと印象がよいでしょう。
2月<如月:きさらぎ>
2月のイベント/節分、バレンタインデー
2月は、実際には一年の中で寒さが最も厳しく、雪も多い季節です。 しかし、暦の上では3日頃に節分、4日頃には「立春」を迎え、春が始まります。 寒い中でも日脚が伸び、春の植物が咲き始め、東風が吹くなど、少しずつ訪れる春に焦点を当て、明るく温か味のある時候の挨拶にすると良いでしょう。
3月<弥生:やよい>
3月は花見月と呼ばれるほど、梅・桃・桜をはじめたくさんの草花が咲き誇る季節。その年の気候によって開花時期が変わりますので、ご自身で観察した植物の様子を言葉で表現しましょう。また、変化の時期でもありますので、環境が良い方向に変わる方には、そちらにかかるような華々しい季節の表現を入れるのもおすすめです。
4月<卯月:うづき>
4月は、さまざまなお花(桜、木蓮、花水木etc)が咲き乱れ、お花を楽しむ絶好の時期ですが、風が吹くとあっけなく散ってしまうのが、春の花たちの特徴です。一般的に言われている時期に合わせて書きますと、既に散っている可能性がございますので、お気をつけてください。
5月<皐月:さつき>
5月のイベント/端午の節句、ゴールデンウィーク、母の日
5月は、緑が美しく、気候としても過ごしやすい一番清々しい季節です。ですから、時候の挨拶では、草木の緑の様子、香り、心地よい風などを表現するとよいでしょう。また、季節の語である、菖蒲・つつじ・すずらん・バラ・立夏・初夏・新緑・若葉など使って、ご自身なりの表現を綴ってみるのもよいですね。
6月<水無月:みなづき>
6月のイベント/梅雨入り、父の日
6月は、梅雨入りし、蒸し暑く、うっとうしい季節です。気分が滅入ってしまいそうな天候が続くからこそ、お相手の心にすがすがしい風が通り抜けるような表現を書きたいもの。雨だからこそ美しく感じる紫陽花や瑞々しい草木の様子を書いてみてはいかがでしょうか。
7月<文月:ふみづき>
7月のイベント/七夕、暑中見舞い、お中元
7月7日ころ小暑を迎え、本格的に夏の厳しさが始まります。そして、7月23日ころ大暑になりますと、夏の最も暑い時期となり、夏バテをされる方も多くなります。ですから、お相手の健康を気遣う言葉を入れたり、暑い夏にせめて気分だけでも涼しくなるような言葉を紡いでみましょう。
8月<葉月:はづき>
8月のイベント/残暑見舞い、お盆、夏祭り
8月8日に立秋を迎え、暦の上では秋がはじまりますが、実際には一年で一番暑い時期です。暑い中でも楽しめたり、元気をもらえる、「ひまわり・あさがお・花火・夏祭り」などの話題を入れてみてはいかがでしょうか。
9月<長月:ながつき>
9月のイベント/敬老の日
暑い夏から秋へバトンタッチする9月。暦の上では、8日頃に秋の気配が見え始める「白露」を迎え、23日頃に「秋分」を過ぎると夜も長くなり、深まる秋を感じるようになります。ひと雨ごとにやわらぐ暑さ、朝・晩に感じる心地よい風、台風の後の美しい秋晴れなど、夏から秋へ移行していく様を、ご自身の言葉で表現してみるとよいでしょう。
10月<神無月:かんなづき>
10月のイベント/月見、ハロウィン
10月は自然が大きく変化する季節です。天候・気温・植物の実り・色彩・虫の音色などの変化を、五感で感じたことを表現してみましょう。天気予報の解説を参考にするのもお勧めです。
11月<霜月:しもつき>
11月のイベント/紅葉狩り、喪中見舞い(年賀欠礼の返信)
11月は、秋から冬への移行の時期です。11月7日頃「立冬」を迎え、日毎に寒さも身にしみる季節。木枯らしが吹き、落ち葉が舞い散る様子に、もの寂しさを感じる季節でもあります。ですから、そのような情景をそのまま描写するのではなく、冬の訪れを楽しむ言葉で表現してみましょう。受け取り手も、心が温まり元気になることでしょう。